私の母校である玉川大学では宗教画「イコン」を蒐集していた。
字の読めない民衆にキリスト教の教義を伝えるために描かれたものだと聞いていた。
確かに、識字率が低く、印刷技術のない時代には、
意図を伝えるためには視覚に訴えるしかない。
しかし、名作と呼ばれる美術には別の意図があった。
それは、宗教や国家を問わず、時の権力者の権威を示すこと。
そうした背景を理解することによって、読者の意識を絵画を「見る」から「読む」へとシフトさせるのが本書の目的ともいえる。
ここでのポイントは3つ
1.美術は集合的無意識を反映している
美術は時の権力者が自らの権威を示す道具として使われていた。
ただそれだけではない、絵画は時代を先取りした空気を描いている。
言い換えれば、時代を通底する集合的無意識を表現している。
芸術家はそれを敏感に察知し、カンバスにそれを表現している。
2.近代美術は印象派から
印象派以降「何を描くのか」から「どのように描くのか」へ、
絵画の定義は変わっていった。
つまり、描くのは対象そのものではなく、
対象の内面や自己の内面を表現するようになった。
3.美術は理性で見る
感性だけで見るのではなく、その背景を読みながら見る。
描かれた絵画には時代の意図が反映されている。
描かれた理由を探りながら、読み解いていくことも楽しみである。
名作の背景や美術史の大きな流れについて知りたければ、本書を手に取ることをすすめる。
専門家では当たり前のことかも知れないが、私のような素人には発見ばかりであった。
一冊20分程度で読める速読術「レゾナンスリーディング」で本を読んでいます。
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記事は「方眼ノート」で書いています。こちらも近日ご案内をします。